2021-01

プチ小説

ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 31.罪

匠は、昔よく連んでいたかつては友達だと思っていたやつらに会うために、ひたすら街中を探してまわった。 「ちきしょー。なんで誰も居場所がわかんねーんだ?」 俺が誰かを殺めた?なんだそれ?何がどーなってるんだ? たしかに、「あ...
プチ小説

ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 30.報告

沙耶は匠にどう伝えるかシミュレーション中だった。きっとまだそこまで現実的な未来は考えていないはず。 もう少し時間をかけて、沙耶への想いを膨らめて、さらに時間をかけて家庭を築く未来を描いてもらう予定だった。 そうして沙耶と同じ苦...
プチ小説

ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 29.誰か

「捜査だ。署に戻る。」 ただそれだけ言って、父親は去った。匠は冷たくなった缶コーヒーをカチッと開けて、一気に飲み干した。  「なんなんだ?」 捜査?あんなお偉いさんが、直々に捜査? 匠はブツブツと独り言を呟きながら...
プチ小説

ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 28.記憶

匠は公園のベンチに座っていた。バイク……仲間……。  飛行機……。頭の中に霞んで浮かんでは消える情景。全体がぼやけてはっきりは見えないが、なんとなく分かる。  自分の記憶だ。沙耶と紅葉を見に行って発作が起きたあの日から、ずっと記憶の糸をた...
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ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 27.判定

沙耶は部屋について、上着も脱がす手帳を勢いよく広げる。先月はいつ来た?いつも来ると記す月のマークが無い。まさか……。ですか?  沙耶はさっきまでの慌ただしさとは打って変わって、微動だにしない。部屋の中が静まり返っていて、窓の外のどこ...
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ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 26.飛行機

「綺麗な横顔……。」少し疲れてはいそうだが、落ち着いたようでスースーと寝息を静かに立てて眠る匠をみて沙耶が呟いた。  わたし、……何してるんだろ。 「ん……。」匠が目を覚ました。「あ、ごめん。寝ちゃってたのか。ごめんな。」 ...
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