ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 10.それぞれの想い 2話

2話

「ヒロ。いってくるね。」

捻挫もすっかり良くなり、支度はいつもの沙耶らしくスピーディに進んだ。
今日はちょっとクールに黒のワンピース。
玄関の全身鏡で全チェック。

「よし。」

ピコン

「おはよ。外にいるよ。ゆっくり来て。」

匠も相変わらず時間通り。
そして、来たことを知らせつつ、慌ててさせないように気遣いの一言。

「気配りができる人。」

沙耶は冷たく呟いた。

「おはよ!」
「おはようございます!」

互いに笑顔で挨拶して出発。

まずは、匠が欲しいCDを見に行く段取りだ。

「寒かったり暑かったり、言ってな。我慢しないで。」

「……じゃ、ちょっとだけ手が冷たくなっちゃったから、触ってもいぃ?」

沙耶は匠の左手に手を乗せた。

匠はちょっと照れ笑いして、沙耶の手を握った。

「あったかい。」「あったかっ!」

2人の声が重なった。

「冷たくないじゃん。手……。笑」

「そう?気のせいじゃない?笑」

匠が沙耶をみてクスッと笑う。

「だって手、繋ぎたかったの。」

あーもー可愛いすぎる。

匠の胸は今日もキュンキュンしている。

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