2話
「ヒロ。いってくるね。」
捻挫もすっかり良くなり、支度はいつもの沙耶らしくスピーディに進んだ。
今日はちょっとクールに黒のワンピース。
玄関の全身鏡で全チェック。
「よし。」
ピコン
「おはよ。外にいるよ。ゆっくり来て。」
匠も相変わらず時間通り。
そして、来たことを知らせつつ、慌ててさせないように気遣いの一言。
「気配りができる人。」
沙耶は冷たく呟いた。
「おはよ!」
「おはようございます!」
互いに笑顔で挨拶して出発。
まずは、匠が欲しいCDを見に行く段取りだ。
「寒かったり暑かったり、言ってな。我慢しないで。」
「……じゃ、ちょっとだけ手が冷たくなっちゃったから、触ってもいぃ?」
沙耶は匠の左手に手を乗せた。
匠はちょっと照れ笑いして、沙耶の手を握った。
「あったかい。」「あったかっ!」
2人の声が重なった。
「冷たくないじゃん。手……。笑」
「そう?気のせいじゃない?笑」
匠が沙耶をみてクスッと笑う。
「だって手、繋ぎたかったの。」
あーもー可愛いすぎる。
匠の胸は今日もキュンキュンしている。