沙耶は匠にどう伝えるかシミュレーション中だった。
きっとまだそこまで現実的な未来は考えていないはず。
もう少し時間をかけて、沙耶への想いを膨らめて、さらに時間をかけて家庭を築く未来を描いてもらう予定だった。
そうして沙耶と同じ苦しみを、そう、大切な人を亡くすという悲しみを味あわせる計画だ。
でも…早すぎたかもしれない。
これじゃ、まだ愛が足りない。愛情が深くなればなるほど傷つけてられるのに。
でも、ここでグズグズ考えてても仕方ないじゃない。
とにかく話すしかない。
『体調どう?顔がみたいよー。』
沙耶は匠と会う為にLINEした。
ここ数日、連絡していなかった。何故か匠の方からも来ない。
いつもなら別れ際の沙耶の様子を心配して、連絡をくれるはず。
それも少し気になった。
「体調まだわるいのかな?」
沙耶は既読が付かないLINEをずっと見つめた…。
「あーもうっ!こうして見てても仕方ないじゃん⁉︎」
結局待てずに部屋を飛び出した。匠に会いに行くために。