ちゃらんぽらんじゃなさそうなプチ小説 30.報告

沙耶は匠にどう伝えるかシミュレーション中だった。
きっとまだそこまで現実的な未来は考えていないはず。

もう少し時間をかけて、沙耶への想いを膨らめて、さらに時間をかけて家庭を築く未来を描いてもらう予定だった。

そうして沙耶と同じ苦しみを、そう、大切な人を亡くすという悲しみを味あわせる計画だ。

でも…早すぎたかもしれない。
これじゃ、まだ愛が足りない。愛情が深くなればなるほど傷つけてられるのに。

でも、ここでグズグズ考えてても仕方ないじゃない。
とにかく話すしかない。

『体調どう?顔がみたいよー。』

沙耶は匠と会う為にLINEした。
ここ数日、連絡していなかった。何故か匠の方からも来ない。

いつもなら別れ際の沙耶の様子を心配して、連絡をくれるはず。

それも少し気になった。

「体調まだわるいのかな?」

沙耶は既読が付かないLINEをずっと見つめた…。

「あーもうっ!こうして見てても仕方ないじゃん⁉︎」
結局待てずに部屋を飛び出した。匠に会いに行くために。

タイトルとURLをコピーしました